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西区そぞろ歩き:ふるあめりかに袖はぬらさじ
掃部山(かもんやま)を下ると岩亀(がんき)横丁。ここのよほど気をつけないと見過ごすような細い路地の奥に「岩亀稲荷」が鎮座まします。
安政年間、中区の港崎(みよざき)町にあった遊郭「岩亀楼」の売れっ子遊女喜遊が、外国人に言い寄られて、これを拒み「露をだにいとふ倭(やまと)の女郎花(おみなえし)ふるあめりかに袖はぬらさじ」という辞世を残して自害した、というお話が今に残るが、これは後世の創作との説もある。
その岩亀楼の遊女が病気にかかると、この辺りにあった寮で静養したのだそうだ。そんな薄幸な女性たちの信仰を集めていたのが、このお稲荷さんであったという。例祭は毎年5月25日である。
文・絵 長谷川 泰(西区文化協会 騎虎の会主宰)
※1997年11月から2004年4月までに、広報よこはま西区版で掲載されたスケッチと文章です。内容は現在とは異なる場合があります。ご了承ください。
(1999年2月掲載)