だれもいないまち 【西区そぞろ歩き 14】だれもいない街

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西区そぞろ歩き:だれもいない街

平沼の通称ガスタンクの近くに、ちょっと変わった街がある。そこには綺麗に整えられた街並みに街路樹、そして両側には豪壮な、あるいは瀟洒な建物が連なる。さらに街中、色とりどりの旗や幟が風にはためく。でもしかし、何か変なのである。ここには生活の息づかいというか、子どもの笑い声も走る足音も夕餉のカレーの匂いも漂ってこない。うす暗くなるころ、この街を通ると何か不気味なのだ。たまさか道をよぎるのは野良猫。何かゴージャスなゴーストタウンのようだ。

というところで種あかし。ここは庶民に夢を売り、それをふくらます住宅展示場である。でもやはり、家とか街とかは人あってこそのものなのだ。と今更ながら納得した次第。

文・絵 長谷川 泰 (西区文化協会 騎虎の会主宰)

※1997年11月から2004年4月までに、広報よこはま西区版で掲載されたスケッチと文章です。内容は現在とは異なる場合があります。ご了承ください。

(1998年12月掲載)

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